雑学

世界にお金は何種類?旅先で両替が要る理由

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
世界にお金は何種類?旅先で両替が要る理由

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世界で法定通貨として使われているお金は、およそ180種類です。国連の加盟国は193か国ですから、国の数より通貨の数のほうが少なくなります。

いくつもの国で同じ通貨を使う例があるからです。それでも旅先で両替が要るのは、お金の効力が国ごとの法律で決まっているからです。この記事では、通貨の世界を数字で順に見ていきます。

世界の通貨は約180種類

国連加盟国や地域で法定通貨として認められている通貨は、約180種類あります。ただし、この180がすべて別々に値動きしているわけではありません。

ほかの通貨に価値を固定しているものを除くと、市場で自由に動くか、複数の通貨を組み合わせた「バスケット」に連動する通貨は130ほどです。残りの50前後は、米ドルやユーロといった大きな通貨に値動きを結びつけた通貨です。

通貨の世界を数字で見る
数字意味
193国連の加盟国の数
約180法定通貨として認められている通貨の種類
約130そのうち、市場で動くかバスケットに連動する通貨
21ユーロを使うEU加盟国(2026年1月にブルガリアが加わった)
142種類のCFAフランを使うアフリカの国(8か国+6か国)
655.9571ユーロに対するCFAフランの固定レート

国の数より通貨が少ない理由

いちばん分かりやすい例がユーロです。欧州委員会によると、ユーロ圏はEU加盟国のうち21か国で、2026年にブルガリアが加わりました。EUの外でも、アンドラ・モナコ・サンマリノ・バチカンの4か国が、EUとの取り決めにもとづいてユーロを使っています。この4か国は、決められた枠の中で、自国のデザインのユーロ硬貨も発行できます。ただし、ユーロ圏の一員ではありません。

アフリカには、CFAフランがあります。1945年12月26日に生まれた通貨で、当初の名前は「アフリカのフランス植民地のフラン」でした。いまは「アフリカ金融共同体のフラン」などと読み替えられ、2つに分かれています。セネガルやコートジボワールなど西アフリカの8か国が使う「西アフリカCFAフラン」と、カメルーンやガボンなど中部アフリカの6か国が使う「中部アフリカCFAフラン」です。どちらも1999年1月1日から、1ユーロ=655.957CFAフランに固定されています。

自国の通貨をやめた国もあります。南米のエクアドルは経済危機のさなかの2000年1月、米ドルを自国のお金にすると発表しました。それまでの通貨スクレは、1ドル=2万5,000スクレの比率でドルに替えられています。1884年から100年以上使われてきたスクレは、同じ年の9月に法定通貨でなくなり、2001年3月には両替の受け付けも終わりました。

米ドルを自国のお金にしている国は、ほかにもあります。中米のパナマは1904年、エルサルバドルは2001年に米ドルを法定通貨にしました。太平洋のミクロネシア連邦とパラオは、1944年から米ドルを使っています。こうした国が増えるほど、「国の数」と「通貨の数」の差は開いていきます。

旅先で両替が要る理由

お札や硬貨が「支払いで受け取りを断れないお金」として通用するのは、その国の中だけです。通貨の効力は、国ごとの法律で決まります。

日本では、日本銀行法第46条が「日本銀行券」は「法貨として無制限に通用する」と定めています。お札で払われたら、金額にかかわらず受け取りを断れない、という意味です。

硬貨には上限があります。通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の第7条は、硬貨が法貨として通用するのを「額面価格の二十倍まで」と定めています。1円玉なら20枚、20円分まで。100円玉なら20枚、2,000円分までです。それを超える枚数で払おうとすると、相手は受け取りを断れます。

こうした決まりは、日本の法律が届く範囲の中だけで働きます。国境を越えると、その国の法律が決めた通貨が「受け取りを断れないお金」になります。旅先で両替が必要なのは、このためです。

日本で「円」が単位になったのは、1871年(明治4年)6月の新貨条例からです。このとき「円、銭、厘」の単位が決まりました。日本銀行が開業したのは1882年10月で、最初の日本銀行券が出たのは1885年5月です。いま法律で「無制限に通用する」とされるお札は、この日本銀行券の流れをくんでいます。

両替所や空港の掲示板では、通貨がJPYやUSDのような3文字で並んでいます。これは国際規格ISO 4217の記号で、1978年に初版が出ました。国の通貨なら、最初の2文字が国の記号、3文字目はたいてい通貨の名前の頭文字です。JPYは日本(JP)の円(Y)を表します。金はXAU、銀はXAGのように、Xで始まる記号も用意されています。文字の記号とは別に3桁の数字の記号もあり、米ドルは840、たいていは国の番号と同じです。

取引される量で見る

通貨の種類は約180あっても、世界で売り買いされる量には大きな偏りがあります。国際決済銀行(BIS)は3年ごとに、世界の外国為替取引を調べています。2025年4月の調査では、1日あたりの取引額は9兆6,000億ドルで、3年前の7兆5,000億ドルから28%増えました。

外国為替取引で各通貨がかかわる割合(2025年4月、BIS調べ)
順位通貨割合
1米ドル89%
2ユーロ28.9%
3日本円16.8%
―英ポンド10.2%(前回より低下)

割合を足すと100%を超えるのは、1回の取引には、いつも2つの通貨がかかわるからです。合計は200%になります。米ドルが89%というのは、取引のおよそ9割で、売るか買うかの片方がドルだということです。円は世界で3番目によく取引される通貨です。

円の値打ちがなぜ毎日動くのか、円安と円高で暮らしがどう変わるのか。お金そのものの仕組みは、為替の数字を眺めるだけでは見えにくい話です。お金の基本から順に追うなら、中高生向けに書かれた解説書が近道になります。

よくある疑問

固定レートの通貨は、ずっと同じレートのままですか?
決められた比率は、変えられることがあります。CFAフランは、1994年1月12日にフランスフランとの比率が1CFAフラン=0.02フランから0.01フランに改められ、価値が半分になりました。いまの1ユーロ=655.957CFAフランは、1999年にユーロが導入されてからの比率です。
通貨の数は、これからも減りますか?
ユーロに加わる国が出れば、その分だけ減ります。EU加盟27か国のうち、ユーロを使っていないのはデンマーク・スウェーデン・チェコ・ハンガリー・ポーランド・ルーマニアの6か国です。デンマークは加わらない権利を条約で認められています。残る5か国は、条件を満たせば加わると約束しています。

まとめ

世界の通貨は約180種類で、国連加盟国の193より少なくなります。ユーロの21か国、2種類のCFAフランの14か国のように、通貨を分け合う国があるからです。自由に値動きする通貨は約130で、取引の89%には米ドルがかかわっています。

次に両替所の掲示板を見るときは、行き先の通貨がどちらの型かを確かめてみてください。ユーロに固定されたCFAフランなら予算が立てやすく、市場で動く通貨なら替える日で受け取る額が変わります。たとえば1万円を米ドルに替えるとき、1ドル=150円の日なら約67ドル、160円の日なら約62ドルです。手数料を除いても、レートの差だけで5ドルほど変わります。

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