世界最大のビール祭り?ドイツのオクトーバーフェスト
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オクトーバーフェストは、ドイツのミュンヘンで毎年開かれる世界最大級のビール祭りです。名前は「10月の祭り」ですが、始まるのは9月の半ばで、10月の最初の日曜日に幕を閉じます。2025年は16日間でおよそ650万人が訪れました。
開催日には決まった計算のしかたがあり、会場のビールにも細かい決まりがあります。この記事では祭りの成り立ちをたどりながら、日付やビールの決まりを自分で確かめる方法を紹介します。
始まりは1810年の結婚式
1810年10月12日、バイエルンの王太子ルートヴィヒ(のちの国王ルートヴィヒ1世)が、ザクセン=ヒルトブルクハウゼンの公女テレーゼと結婚しました。祝いの締めくくりとして10月17日、市の門の外に広がる草原で競馬が開かれ、ミュンヘンの市民が招かれます。これが最初のオクトーバーフェストです。
この草原は、花嫁の名にちなんで「テレージエンヴィーゼ(テレーゼの草原)」と呼ばれるようになりました。今も会場はここで、地元の人は短く「ヴィーゼン」と呼びます。
競馬は翌年も開かれ、毎年の行事になっていきます。1819年にはミュンヘン市が運営を引き継ぎました。ビールの売店が初めて出たのは1815年、ビール会社が仮設のビールホールを建て始めたのは1895年です。ナショナル ジオグラフィックによると、1835年の時点で、すでに25万リットルのビールが飲まれていました。
なぜ9月に始まるのか
10月のミュンヘンは雨が多く、夜は冷え込みます。ナショナル ジオグラフィックによると、1828年にはもう、雨への不満が記録に残っています。それでも市は、収穫の時期と重なるのを嫌って、すぐには日程を動かしませんでした。
1890年代には開催日を前にずらす年が出てきて、1905年に9月の終わりに始まる形が正式に決まります。名前だけが、最初の10月のまま残りました。
今の日程にははっきりした決まりがあります。ミュンヘン市の公式サイトによると、始まりは「9月15日より後の最初の土曜日」、終わりは「10月の最初の日曜日」です。ただし10月1日か2日が日曜日に当たる年は、ドイツ統一の日の祝日である10月3日まで延長されます。
開催日を自分で計算してみる
この決まりを使うと、カレンダー1つで何年先の日程でも出せます。手順は次のとおりです。
- その年のカレンダーで9月16日以降を見て、最初の土曜日を探す。これが初日
- 10月のカレンダーで、最初の日曜日を探す。これが最終日
- 最終日が10月1日か2日なら、最終日を10月3日に延ばす
- 初日から最終日までの日数を数える。普通は16日間になる
計算した結果を表にまとめました。2025〜2027年の3年分は、ミュンヘン市が発表した日程と一致します。
| 年 | 初日(土) | 最終日 | 日数 |
|---|---|---|---|
| 2025年 | 9月20日 | 10月5日(日) | 16日間 |
| 2026年 | 9月19日 | 10月4日(日) | 16日間 |
| 2027年 | 9月18日 | 10月3日(日) | 16日間 |
| 2028年 | 9月16日 | 10月3日(火)※延長 | 18日間 |
2028年は10月1日が日曜日に当たるので、最終日が火曜日の10月3日まで延びて18日間になります。初日が9月16日と早いのも、9月15日が金曜日だからです。カレンダーで1年ずつ確かめてみると、「10月の祭り」でも会期のほとんどが9月だと分かります。
ビールを出せるのは6社だけ
会場でオクトーバーフェストのビールを出せるのは、ミュンヘンの次の6社だけです。
- アウグスティナー
- ハッカー・プショア
- レーヴェンブロイ
- パウラナー
- シュパーテン
- ホフブロイ
バイエルン州の食文化遺産のサイトによると、市内の地下水を使って、製造の全工程をミュンヘン市内で行うことが条件です。
原料は1516年にバイエルン公ヴィルヘルム4世が出したビール純粋令どおり、水と麦芽とホップと酵母のみ。麦汁の濃さ(原麦汁エキス)は13.6%以上、アルコール分は5.3〜6.6%と決められています。2022年10月には、EUの地理的表示保護(g.g.A.)に登録されました。
この強めのビールは、「メルツェン(3月のビール)」の流れをくんでいます。冷蔵の機械がなかったころ、ラガーを仕込めるのは発酵に向く6〜10度の時期だけでした。夏の前の最後の3月に強めに仕込み、秋まで寝かせて祭りで出していたのです。1876年にカール・フォン・リンデの冷凍機が登場して、この季節の縛りはなくなりました。今の会場では、メルツェンより色の薄い「フェストビア」が主流になっています。
日本の店で「オクトーバーフェスト」と書かれたビールを見かけたら、次の3点をラベルで確かめてみてください。
- 造った会社が、上の6社のどれかか
- 「Oktoberfestbier」「Festbier」「Märzen」のどれかの表記があるか
- アルコール分が、会場のビールと同じ5.3〜6.6%の範囲か
1つ目が当てはまらなければ、祭りの名前を借りた別の会社のビールです。3つの条件が揃っても、会場の樽と同じ品かどうかは、ラベルだけでは判断できません。それでも、どの醸造所の、どんな種類のビールかは見分けられます。
正午の合図と、中止の歴史
初日の正午、ミュンヘン市長がショッテンハーメルというテントで最初の樽に栓を打ち込み、「オ・ツァプフト・イス(栓が開いたぞ)」と告げます。この儀式は1950年に始まりました。最初のトーマス・ヴィマー市長は、栓を打ち込むのに19回たたいています。最も少ないのは2回で、クリスティアン・ウーデ市長とディーター・ライター市長が記録しました。ジョッキは1リットル入りの「マス」で、2025年は約650万マスが飲まれています。前年の2024年は約700万マスでした。
200年を超える歴史の中で、祭りは26回中止されています。最初は1813年のナポレオン戦争でした。1854年と1873年はコレラの流行、1866年と1870年は戦争、1914〜1918年と1939〜1945年は二度の世界大戦が理由です。第一次大戦後の激しいインフレで、1923年と1924年も開けていません。近年では2020年と2021年が新型コロナで中止となり、2022年に再開しました。
旅先で祭りの雰囲気やミュンヘンの街歩きをまとめて知るなら、会場の地図やビールの解説が載ったガイドブックのほうが具体的です。
よくある疑問
- ミュンヘン以外でもオクトーバーフェストは開かれていますか?
- 世界各地で開かれています。中国の青島(チンタオ)では毎年約300万人、カナダのキッチナー・ウォータールーでは約70万人、ブラジルのブルメナウでは約60万人が集まります。アメリカのシンシナティでは1976年から続き、50万人以上が訪れる国内最大の催しです。日本でも、各地でこの祭りにならった催しが開かれています。
まとめ
オクトーバーフェストは、1810年10月の王太子の結婚を祝う競馬から始まりました。雨の多い10月を避けて1905年に9月開始が決まり、今は「9月15日より後の最初の土曜日から、10月の最初の日曜日まで」の16日間が基本です。ビールを出せるのは、ミュンヘン市内で造る6社だけです。
次のカレンダーを手に取ったら、来年のオクトーバーフェストの初日を数えてみてください。その日の正午に、ミュンヘンでは市長が最初の樽を開けます。
参考にした資料
- ミュンヘン市公式サイト — Oktoberfest-Bilanz 2025: Zahlen und Fakten
- バイエルン州 Genusserbe Bayern — Oktoberfestbier
- National Geographic — What is Oktoberfest—and why is it actually in September?
- ミュンヘン市公式サイト — Oktoberfest in Munich: dates and opening hours(開催日の決まり)
- ミュンヘン市公式サイト — L'Oktoberfest 2026 à Munich du 19/09 au 04/10
- Wikipedia — Oktoberfest(中止の年・開会の儀式・各地の催し)