雑学

真夜中でも空が明るい、太陽が沈まないノルウェーの白夜

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
真夜中でも空が明るい、太陽が沈まないノルウェーの白夜

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ノルウェー北部では、夏のあいだ太陽が一日中沈みません。この白夜は北極圏の線の上で約20日、トロムソで約2か月、スヴァールバル諸島で約4か月続きます。

原因は、地球の地軸が約23.4度傾いたまま太陽のまわりを回っていることです。同じ傾きが、冬には太陽の昇らない極夜をもたらします。白夜と極夜を、数字で順に見ていきます。

23.4度の傾きが白夜を生む

地球は、公転面に垂直な線から約23.4度かたむいたまま太陽のまわりを回っています。夏の北半球は北極側を太陽に向けているため、高緯度の土地は一日中、光の当たる側にとどまります。

太陽は沈まず、地平線の近くを横へ移動していく。地軸の傾きだけで、この景色は説明がつきます。

半年後、地球は軌道の反対側に来ます。同じ23.4度の傾きが、今度は北極側を太陽から遠ざけます。だから白夜のある土地には、極夜も決まってやって来ます。

真夜中の太陽がどの高さに来るかも、この傾きから計算できます。夏至の真夜中の太陽の高さは、おおよそ「その土地の緯度から66.6度を引いた角度」です。66.6度は、90度から23.4度を引いた数です。

ノールカップの約4.6度という計算は、夏至の夜の北岬で太陽が最も低くなるときの高さを約5度とする資料とよく合います。北極点では、太陽は地平線とほぼ平行に空を回り、夏至に向けて少しずつ高い円を描きます。

北極点の昼と夜は同じ長さではありません。太陽が沈まない期間は約186日、昇らない期間は約179日で、昼のほうが1週間ほど長くなります。地球は1月上旬に太陽に最も近づき、7月上旬に最も遠ざかります。太陽から遠い夏の半年は公転の速さが落ちるので、北半球の夏は冬より長くなるのです。

境界は北緯66度33分51秒

白夜が起きる範囲の南限が北極圏です。現在の位置は北緯66度33分51秒で、地図にはふつう「北緯66度34分」と書かれます。この線より北の面積は約2,000万平方キロメートルで、地球の表面の約4%にあたります。

この線は固定されていません。地軸の傾きは、月の引力の影響で約4万1千年の周期で2度ほど揺れ動きます。北極圏の緯度は「90度から地軸の傾きを引いた値」なので、傾きが変われば線も動きます。いまは1年に約14.5メートルずつ北へ移動中です。

実際には、北極圏の線より少し南でも白夜は見られます。理由は二つあります。一つは大気が光を曲げるため、地平線の下にある太陽が浮き上がって見えること。もう一つは、太陽が点ではなく直径を持った円盤であることです。

この二つによって、白夜の見える範囲は北極圏より最大90キロほど南へ広がります。6月に白夜が起きる最も低い緯度は、北緯65度44分ほどです。

北へ行くほど長くなる

白夜の長さは緯度でほぼ決まります。ノルウェー政府観光局の一覧を、南から北へ並べると次のとおりです。

ノルウェー各地の白夜の期間(ノルウェー政府観光局の一覧から作成。日数は始まりと終わりの日を含めて数えた)
場所太陽が沈まない期間日数
北極圏の線6月12日〜7月1日20日
ボードー6月4日〜7月8日35日
ロフォーテン諸島5月28日〜7月14日48日
トロムソ5月20日〜7月22日64日
ハンメルフェスト5月16日〜7月27日73日
ノールカップ(北岬)5月14日〜7月29日77日
スヴァールバル諸島4月20日〜8月22日125日

北極圏の線からトロムソまでは、緯度で3度ほどしか違いません。距離にして300キロあまりです。それでも白夜は20日から64日へ、3倍以上に延びます。トロムソの64日は、夜の数で数えれば63夜です。

日付は資料によって数日ずれます。スヴァールバル諸島の中心地ロングイェールビーンについて、スヴァールバル観光局は4月19日〜8月23日(127日)としています。ウィキペディアは4月18日〜8月24日の128日です。旅の計画では、期間の端の数日を当てにしないのが安全です。

山の影も効きます。トロムソでは太陽が地平線の上にあるのは5月18日ごろから7月26日ごろまでですが、町からは山にさえぎられます。実際に太陽が見えるのは、5月21日ごろから7月21日ごろまでです。

太陽が沈まない期間の外側にも、明るい夜は続きます。トロムソでは3月27日から9月17日まで、空が本当に暗くなる時間がありません。

この明るさのせいで、夏はオーロラが見えません。トロムソはオーロラがよく現れる帯の中にありますが、4月下旬から8月中旬までは空が明るすぎます。沈まない太陽とオーロラを、一度の旅で両方見ることはできないのです。

冬は極夜、その長さも緯度しだい

白夜の土地には、冬には極夜が訪れます。ノルウェー政府観光局が示す期間を並べます。

ノルウェー各地の極夜の期間(ノルウェー政府観光局から作成)
場所太陽が昇らない期間
スヴァールバル諸島10月末〜2月初め
キルケネス・ノールカップ11月末〜1月末
アルタ・トロムソ11月末〜1月中旬
ロフォーテン・ヴェステローレン12月初め〜1月初め
ボードー本当の極夜は起きない(12月後半は南の山が太陽を隠す)

同じ場所で比べると、極夜は白夜より短くなります。トロムソの極夜は11月28日から1月14日までの48日で、白夜の64日より16日短い。ロングイェールビーンでも、白夜128日に対して極夜は111日(10月27日〜2月15日)です。大気が太陽を浮き上がらせる効果は、白夜を延ばし、極夜を縮める向きに働きます。

極夜は24時間まっ暗という意味ではありません。ノルウェー政府観光局の説明によれば、晴れた日には正午前後に明るさが戻り、空がピンクや赤に染まることもあります。午後には雪と海が光を反射して一帯が青く見える時間帯があり、現地ではブロータイメン(青の時間)と呼ばれています。

トロムソの冬至でも、本当の夜は一日の半分ほどです。空にかすかな明るさが残る天文薄明を夜に含めなければ、夜は13時間32分にとどまります。残りの10時間あまりは、太陽が出ていなくても空がどこか明るい時間です。

ただし北へ行くほど暗さは深まります。ロングイェールビーンでは11月13日から1月29日まで、正午でも太陽が地平線の6度より下にとどまり、昼でも薄暗い程度の明るさにしかなりません。町は山に囲まれているため、2月16日ごろに極夜が明けても、町に日が差すのは3月8日ごろです。

よくある疑問

日本で白夜は見られますか?
見られません。白夜が起きる最も低い緯度は北緯65度44分ほどです。日本の最北端である択捉島でも北緯45度33分なので、20度以上足りません。
サンクトペテルブルクの「白夜」では太陽が沈むのでは?
沈みます。ロシアのサンクトペテルブルクの白夜は、太陽が地平線のすぐ下、約6度以内にとどまって空が暗くならない現象です。英語では white nights と呼ばれ、6月11日ごろから7月1日ごろまで続きます。太陽そのものが沈まないノルウェー北部の白夜(midnight sun)とは別の現象です。

まとめ

表の白夜の期間がすべて重なるのは、6月12日から7月1日までです。この3週間に北極圏の線より北へ行けば、天気と山の影さえ許せば沈まない太陽を見られます。

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