雑学

ビーチの砂を持ち帰ると罰金?イタリアのルール

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
ビーチの砂を持ち帰ると罰金?イタリアのルール

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イタリアのサルデーニャ島では、浜辺の砂を持ち帰ると500ユーロから3000ユーロの罰金がかかります。2017年7月28日の州法16号で決まったルールで、砂だけでなく小石や貝殻も対象です。

旅の記念にひとつまみ、のつもりでも取り締まりの対象になり、実際に空港や港で毎年のように見つかっています。この記事では、読者が抱きそうな疑問に1つずつ答えながら、このルールの中身と理由を見ていきます。

何を持ち帰るといけないの?

根拠になっているのは、サルデーニャ州の観光に関する州法16号の第40条第2項です。海岸や海から出た砂・小石・石・貝殻を、許可なく「持ち出す」「所持する」「売る」ことを禁じています。条文には「少量でも」とはっきり書かれています。

罰金は500ユーロから3000ユーロ。ルールは2017年8月1日から適用されています。

取り締まるのは州の森林警備隊(コルポ・フォレスターレ)と、海岸を管轄する市町村などです。禁止されているのは許可や使用権のない持ち出しなので、工事などで正式な許可を得た場合は対象外です。観光客が勝手に持ち帰る行為が禁じられている、と理解すると正確です。

イタリアには国の法律もあります。航海法典の第1162条は、許可なく海岸の公有地から砂や砂利などを採ることを禁じ、1549〜9296ユーロの罰金を定めています。サルデーニャの州法は、これに加えて「持っているだけ」「売るだけ」の行為まで対象を広げた形です。

本当に見つかって罰金になるの?

見つかっています。報道された主な例を並べると、次のとおりです。

サルデーニャで報じられた主な摘発
時期場所量結果
2016年島内の浜・港・空港—森林警備隊が22件の行政処分
2018年8月ガッルーラ地方ボトル1本の砂罰金1000ユーロ
2019年8月ポルト・トッレス港約40kg(ボトル14本)加重窃盗で訴追
2020年9月カリャリ・エルマス空港約2kg罰金1000ユーロ
2022年島内の空港115kg超税関が押収

2019年の例は、40代のフランス人夫婦でした。南部のキア海岸の白い砂をペットボトル14本に詰め、フランスのトゥーロン行きのフェリーに乗る直前に見つかっています。夫婦は「記念品のつもりで、違法だとは知らなかった」と話しました。ただ、島の浜辺には複数の言語で禁止を知らせる看板が立っています。この件は罰金ではすまず、最大で禁錮6年となる加重窃盗の罪でサッサリの裁判所に送られました。

空港や港で、どうやって見つかるの?

報道された例では、空港の手荷物や港での車の検査で見つかっています。2019年の夫婦は、フェリーに乗る前の車の検査でボトルが見つかりました。2020年の例では、空港で荷物の中のペットボトルから砂が出てきました。

量も少なくありません。地元紙ウニオーネ・サルダの2026年6月の報道によると、北東部のオルビア空港だけで、2年間に約4トンの砂・小石・貝殻が押収されました。数十人の観光客が持ち出そうとしていたといいます。担当者は、より多くが見つかる港にも取り組みを広げたい考えです。

港の数字は以前から目立っていました。2019年の報道によると、検査が空港ほど厳しくないオルビア港では、その前年の夏だけでフェリーの乗客から約500キロが押収されています。1件で40キロという夫婦の例は、それまでに報じられた中で最も多い量でした。

見つけるだけでなく、知らせる工夫も進んでいます。イタリアの税関(関税・専売庁)は州と組んで、2021年から「サルデーニャは心に持ち帰って」という啓発キャンペーンを続けています。ミラノやローマの空港の大型画面や、島へ向かうフェリーの船内モニターで動画を流しています。

ひとつまみでも、なぜだめなの?

州森林警備隊の説明はシンプルです。浜辺の砂は数百万年かけて生まれたもので、工場で作り直すことはできません。一人が持ち帰るのはボトル1本分でも、何百万人もの観光客が同じことをすれば、毎年何トンもの砂が島から消えていきます。

オルビア空港の2年で4トンという数字は、その積み重ねが見える形になったものです。同じ記事も、これはオルビア1か所の数字にすぎず、問題はもっと広いと指摘しています。だから「少しだけなら」が通用しないのです。

サルデーニャには、砂そのものが珍しい浜もあります。西部カブラスのイス・アルタス海岸は、米粒のような石英の粒でできた浜として知られています。2022年には、空港などで集められた石英の粒250キロがこの浜に戻されました。

押収された砂はどうなるの?

捨てられるわけではありません。オルビアでは約6年前から「テイク・ミー・バック・トゥ・ザ・シー(海に帰して)」という取り組みが続いています。タヴォラーラ島の海洋保護区や空港の運営会社、州、森林警備隊などが加わっています。

押収された砂は島のあちこちから集まっているため、地質の専門家がそれぞれに合う浜を選んで戻します。2026年には、タヴォラーラ島のカラ・トラモンターナに返されました。ただ、混ざってしまった砂を元の一粒ずつに戻すことはできません。

自分から返しに来る人もいます。2026年7月には、ある女性が40キロの石英の砂を車に積み、イス・アルタスへ返しに来ました。1979年にミラノから訪れた両親が持ち帰り、庭に使っていた砂です。亡くなった母親から、返してほしいと頼まれていたといいます。

海洋保護区の責任者は「自分の意思で持ち帰る人も多いが、知らずに持ち帰る人も多い」と話しています。

ピンクの浜はなぜ立ち入り禁止になったの?

持ち去りが続いた結果、浜そのものが閉ざされた例があります。島の北部、ラ・マッダレーナ諸島国立公園にあるブデッリ島の「スピアッジャ・ローザ(ピンクの浜)」です。

砂がピンク色なのは、珊瑚や花崗岩、貝のかけらが混ざっているためです。特に、海草ポシドニアの草原で貝殻の中にすむ小さな生き物が、色に強く影響しています。この珍しい砂が土産として持ち去られ、1990年代には国立公園の規則で、浜を歩くことも泳ぐことも禁じられました。

今は最も保護の厳しい「Aゾーン」に指定されています。船で近づけるのは岸から約70メートル沖のブイの線までで、浜には監視カメラも置かれています。

島は長く個人の持ち物でした。2013年に競売にかけられ、ニュージーランドの実業家が約294万ユーロで落札しましたが、国が異議を唱えます。約3年の裁判を経て、2016年に国の所有になりました。

日本の浜の砂なら持ち帰っていいの?

日本にも決まりがあります。海岸法では、海岸保全区域とそれ以外の公共の海岸(一般公共海岸区域)で砂を含む土石を採るとき、海岸管理者の許可が必要と定めています。政令で定める行為は例外とされていますが、原則は許可制です。

どこまでが許可の対象になるかは、場所や量によって変わります。迷ったら、その海岸を管理する自治体に確かめるのが確実です。旅先の国でも同じで、日本の感覚で「少しなら大丈夫」と考えるのは危険です。

まとめ

サルデーニャでは、少量でも砂・小石・石・貝殻を持ち出すと500〜3000ユーロの罰金になります。空港や港では毎年のように見つかり、オルビア空港だけで2年に4トンが押収されました。砂は数百万年かけて生まれるもので、ピンクの浜のように、持ち去りが続けば立ち入り禁止になることもあります。

サルデーニャの浜を訪れるなら、砂は写真とサンダルの裏だけにとどめてください。帰りの空港で荷物を開けられ、記念品が罰金に変わる旅にはしたくないはずです。

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