雑学

夜に氷の城が輝く、中国ハルビンの祭りとは

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
夜に氷の城が輝く、中国ハルビンの祭りとは

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中国東北部のハルビンで冬に開かれる氷雪祭の城や塔は、街を流れる松花江(しょうかこう)から切り出した天然の氷でできています。夜に色とりどりに光るのは、氷のブロックに照明を仕込んであるからです。

2025〜26年の会場「ハルビン氷雪大世界」は広さ120万平方メートルで、使った氷と雪は過去最多の40万立方メートルでした。始まりは、農民や漁師が冬の夜にともした小さな氷の明かりです。

氷の城は、何でできている?

松花江の天然の氷です。新華社によると、2025年の採氷は12月7日に始まりました。この日は二十四節気の「大雪」にあたり、このころには川の氷が厚さ30センチを超えます。

作業には1,000人近くが加わり、氷を長さ1.6メートル、幅0.8メートルにそろえて切り出します。多い日には、1日で1万立方メートルが運ばれます。

切り出した氷は、そのまま使うわけではありません。会場に運ぶ前に検査を受け、厚さ・長さ・欠けのなさ・汚れのなさがすべて基準を満たしたものだけが使われます。

新しいのは、切る道具です。会場はハルビン工業大学と組んで、氷を同じ形のブロックに削る機械を2台入れました。以前はチェーンソーで手作業で切っていました。機械にしたことで削る速さは3倍を超え、ブロックの平らさや垂直さも上がって、積み上げたときの出来が良くなったといいます。

開園までの2か月に、何が起きる?

実は、工事は川の氷が凍る前に始まります。使うのは、前の冬に切り出してとっておいた氷です。2025年は、前の冬の氷20万立方メートルを10か月以上保管して、工事の最初に使いました。

第27回ハルビン氷雪大世界ができるまで(新華社、China Dailyの報道をもとに作成)
日付(2025年)出来事
11月24日保管していた氷の、最初のブロックを取り出す
11月25日氷の建物の工事が始まる。1万人近くが加わる
12月7日「大雪」の日。松花江で今季の採氷が始まる
12月10日主塔「冰灯启梦」が完成。使った氷は3万9000立方メートル
12月17日開園。広さ120万平方メートル、氷と雪は40万立方メートル

主塔「冰灯启梦」は、この回の会場で最も高く、1つの建物として最も大きい氷の建築でした。保管しておいた氷の最初の分は、この主塔と、巨大な氷の滑り台に回されています。川が凍る前から工事を始められるのは、前の冬の氷があるからです。

工事も展示も、寒さが支えています。ハルビンの冬の平均気温はおよそマイナス16.8度で、マイナス25度ほどまで下がる日も珍しくありません。夏の平均は21.2度なので、1年の気温の差は40度近くになります。この寒さがあるから、氷の建物は2か月以上も形を保てます。

夜に光るのは、なぜ?

氷のブロックの中や足元に、色の付いた照明を仕込んでいるからです。昼間は白っぽい半透明のかたまりに見える建物が、日が暮れると青や緑や赤に変わります。

天然の氷は、ガラスのように透き通ってはいません。光を通しながら、中で少しずつ散らします。そのため、内側から照らすと、壁の表面全体がぼんやりと光って見えます。外から照らすだけでは、この光り方にはなりません。氷雪祭が夜を本番とするのは、この光り方を見せるためです。

反対に、ガラスのように透明な彫刻を作りたいときは、不純物を取り除いた水を凍らせた氷を使います。

人工の氷のほうが、丈夫できれいでは?

よくある誤解です。工場で作る氷は形がそろっていて、透明にもできます。それでも大きな建物には、川の天然の氷が使われています。

理由は厚さと強さです。氷雪祭で長く彫刻を手がけてきた王秋生さんは、AFP通信の取材に「人工の氷は厚さが足りず、風に耐えられるほど強くない」と答えています。高さのある塔や長い滑り台を支えるには、川で育った厚い氷が向いているわけです。

ただし川の氷は、凍るのを待たなければ切り出せません。2025年の採氷は12月7日からで、開園のわずか10日前でした。前の冬の氷を保管しておくのは、この待ち時間を埋めるためでもあります。

氷の明かりは、いつから?

北京日報の記事によると、17世紀の松花江沿いでは、農民や漁師が冬の夜の明かりや魚寄せのために氷の灯りを作っていました。水桶の水を凍らせて氷の殻を作り、中に油の灯りやろうそくを入れたものです。灯籠を買えない人々が正月や元宵節に飾ったことから、「窮棒子灯(貧乏人の灯り)」とも呼ばれました。

この暮らしの工夫を、街の催しにしたのがハルビン市です。1963年、市内の兆麟公園で最初の氷灯の展示会が開かれ、初日の夜だけで約5万人が訪れました。文化大革命で数年中断したあと、1985年1月5日に毎年の祭りとして再開が発表されます。

今の氷雪祭は、1つの会場だけではありません。主な会場は3つあります。

氷雪大世界が開かれた2年後の2001年には、黒竜江省の国際スキー祭と合わさり、今の正式な名前になっています。2007年には、長さ250メートル・高さ8.5メートルの雪像が、世界最大の雪像としてギネス世界記録に認められました。

雪の結晶や、川や湖にできる氷の形は、写真で見ると驚くほど種類があります。氷雪祭の氷の質感が気になったら、雪と氷を写した写真絵本で、身の回りの氷と見比べてみるのも楽しいはずです。

よくある疑問

氷雪祭はいつ開かれていますか?
展示はふつう12月下旬から2月下旬までです。会場の開園日は年によって違い、2024〜25年の第26回は2024年12月21日に開園し、68日間開かれました。2025〜26年の第27回は、例年より早い2025年12月17日の開園でした。
どれくらいの人が訪れますか?
2024〜25年の第26回は、68日間で約356万人が訪れました。前の回の約271万人から31.4%増え、当時の過去最高です。会場の広さは100万平方メートルを超え、使った氷と雪は30万立方メートルでした。ハルビン市全体では、2024〜25年の冬のシーズンに延べ9,000万人を超える観光客が訪れています。2025年2月には、ハルビンでアジア冬季競技大会も開かれました。
暖かくなると、氷の建物はどうなりますか?
溶け始めたところで閉園します。第27回は、2026年2月下旬の土曜に、気温の上昇で氷と雪の景観が溶け始めたため閉園しました。主催者は理由に安全と、見学の質を守ることを挙げています。2月20〜28日の入場券を持っていた人は、次の回に無料で入れる扱いになりました。2019年にも暖かい日が続き、予定より10日以上早く閉園しています。前の年の閉園は3月10日でした。

まとめ

ハルビン氷雪祭の城は、松花江から切り出した長さ1.6メートルの氷のブロックを、1万人近くが積み上げて作ります。前の冬の氷を10か月以上とっておき、11月下旬に工事を始め、12月中旬に開園する流れです。そして2月下旬、暖かくなって氷が溶け始めると閉園します。夜に光るのは、内側に照明を仕込んでいるからです。

写真で見るときは、氷の色ではなく、ブロックの合わせ目の線を探してみてください。1つ1つのブロックが積み重なっているのが見えてきます。

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