お札にも寿命がある?千円札と一万円札で違う理由
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お札には寿命があります。日本銀行によると、平均的な寿命は一万円札で4〜5年程度、五千円札と千円札で1〜2年程度です。
同じ紙と同じ印刷なのに差がつくのは、千円札や五千円札がつり銭として何度も人の手を渡り、早く傷むからです。寿命が来たお札は、日本銀行の機械に「もう使えない」と判定され、細かく裁断されて引退します。
結論:寿命は券種で3倍ちがう
日本銀行が示す平均的な寿命は、一万円札が4〜5年程度、五千円札と千円札が1〜2年程度です。五千円札は金額こそ千円札の5倍ですが、寿命は千円札と同じ側に入ります。金額の大きさではなく、どれだけ頻繁にやり取りされるかで寿命が決まるからです。
同じ傾向は、ほかの国のお札にも見られます。アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度は、ドル札の寿命を券種ごとに推計しています。
| お札 | 平均寿命 | 示している機関 |
|---|---|---|
| 千円札 | 1〜2年程度 | 日本銀行 |
| 五千円札 | 1〜2年程度 | 日本銀行 |
| 一万円札 | 4〜5年程度 | 日本銀行 |
| 1ドル札 | 7.2年 | 米連邦準備制度 |
| 20ドル札 | 11.1年 | 米連邦準備制度 |
| 100ドル札 | 24.0年 | 米連邦準備制度 |
ドル札の寿命は、日本のお札より全体に長めです。ただし推計の方法が同じとは限らないため、数字を単純に並べて「どちらが丈夫」とは言えません。はっきり読み取れるのは、日本でもアメリカでも、少額のお札ほど早く傷むという共通点です。100ドル札の24年は、1ドル札の3倍を超えます。
仕組み:お札の一生は日本銀行で始まり、日本銀行で終わる
お札は、使い切って自然に消えるものではありません。日本銀行の説明に沿って、1枚のお札の一生をたどると次のようになります。
- 国立印刷局が印刷し、日本銀行の金庫に納める
- 銀行などの金融機関が、日本銀行の当座預金から引き出す形で世の中に出ていく
- 買い物や給料の支払いで、人から人へ渡る
- 金融機関に預けられたお札が、日本銀行に戻ってくる
- 自動鑑査機で、本物かどうかと枚数を確かめ、汚れや傷みの具合で仕分ける
- まだ使えるお札は再び世の中へ。使えないお札は、復元できない大きさに裁断される
寿命を決めているのは、5番目の鑑査です。汚れや傷みが一定の度合いを超えると、そこで引退が決まります。千円札が1〜2年で引退するのは、つり銭として何度もやり取りされ、傷みが早く進むからです。
裁断されたお札の行き先も決まっています。日本銀行によると、裁断くずの一部は今、トイレットペーパーなどに再生されています。残りは一般廃棄物として、自治体の焼却施設で燃やされます。
1〜2年持つ紙のひみつ
何十人もの手を渡っても形を保てるのは、紙そのものが特別だからです。国立印刷局によると、お札の紙の原料はみつまたやアバカ(マニラ麻)などの植物です。1枚の重さは約1グラム、厚さは約0.1ミリ。天然の繊維なので、長く使ったり水にぬれたりすると、わずかに縮むことがあります。
印刷にも手間がかかっています。今のお札は全部で20色以上を使います。一万円・五千円・千円の各札は、表に13色、裏に7色を重ねています。光にかざすと見える縦の棒(すき入れバーパターン)は、一万円札が3本・五千円札が2本・千円札が1本です。偽造を防ぐ仕掛けが、紙の中にまで入っています。
大きさは、時代によって大きく変わりました。今の千円札は縦76ミリ・横150ミリです。国立印刷局がこれまでで最大とするのは、1891年(明治24年)発行の改造百円券で、縦130ミリ・横210ミリ。最小は1948年(昭和23年)発行のA五銭券で、縦48ミリ・横94ミリでした。
よくある誤解:新しいお札が出たら古いお札は使えない?
使えます。2024年7月3日に、一万円札(渋沢栄一)・五千円札(津田梅子)・千円札(北里柴三郎)が新しくなりました。それでも、福沢諭吉の一万円札などの古いお札は、今もそのまま使えます。
日本銀行は「一度発行された銀行券は、法令に基づく特別な措置がとられない限り、通用力を失うことはありません」と説明しています。1885年(明治18年)に初めて銀行券を発行してから、これまでに出したお札は56種類。そのうち25種類が今も有効です。
使えなくなった31種類は、3回の特別な措置によるものです。関東大震災のあとの1927年、新円切り替えの1946年、1円未満の小額通貨を整理した1953年でした。古いお札は、自然に姿を消していきます。鑑査で傷んだものから順に裁断され、新しいお札に置き換わっていくのです。聖徳太子の一万円札のように使いにくい古いお札は、日本銀行の本店・支店で今のお札と引き換えられます。
もう1つの誤解は、「寿命が来たお札は無効になる」というものです。寿命はあくまで平均的な年数で、使える期限ではありません。2004年から発行された野口英世の千円札が手元にあっても、そのまま使えます。傷みが少なければ、鑑査を通って再び世の中を回ります。
身近な例:破れた千円札はいくらになる?
うっかり破いたり燃やしたりしたお札も、すぐに価値がゼロになるわけではありません。日本銀行は、表と裏の両面が残っていることを条件に、残った面積で引き換えます。
- 3分の2以上残っている:全額と引き換え(千円札なら1,000円)
- 5分の2以上、3分の2未満:半額と引き換え(千円札なら500円)
- 5分の2未満:引き換えできない(お札としての価値を失う)
同じお札の切れ端なら、合わせた面積で判定されます。引き換えは日本銀行の本店・支店で、営業日の午前9時から午後3時まで。手数料はかかりませんが、事前の予約が必要で、郵送では受け付けていません。
お札が生まれる前、人々はどうやって物を交換していたのか。お金の歴史や銀行の役割まで広げて知りたい人には、子ども向けに図解した学習まんがが入り口になります。
よくある疑問
- 燃えて灰になったお札も、引き換えてもらえますか?
- 引き換えられる場合があります。日本銀行によると、灰になっていても、紙やインクの質から本物と特定できることがあります。ただし灰が細かく崩れると特定が難しくなるため、なるべく形を崩さず、細かい部分も集めて容器に入れて持ち込むよう案内しています。
- お札の番号が尽きる心配はありませんか?
- 当面はありません。記番号は「アルファベット2文字・数字6けた・アルファベット2文字」の組み合わせで、紛らわしいIとOを除いた24文字を使います。国立印刷局の計算では、組み合わせは2985億9,840万通りです。
- 二千円札は今も使えますか?
- 使えます。二千円札は2000年(平成12年)7月19日に発行が始まり、表に沖縄の守礼門が描かれています。日本銀行は今も「現在発行されている銀行券」の1つに挙げています。2024年に一新されたのは一万円・五千円・千円の3種類で、二千円札は対象外でした。
まとめ
お札の平均的な寿命は、一万円札で4〜5年程度、五千円札と千円札で1〜2年程度です。差を生むのは金額ではなく使われる回数で、日本銀行の鑑査で傷みが一定を超えると裁断されます。新しいお札が出ても古いお札は使え、破れたお札も3分の2以上残っていれば全額と引き換えられます。
次に千円札を受け取ったら、光にかざして縦の棒が1本あるかを確かめ、角の折れ具合を見てみてください。しわの深い1枚は、まもなく日本銀行で引退を言い渡される札かもしれません。
参考にした資料