雑学

お化けに変装しお菓子をもらう秋の行事とは

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
お化けに変装しお菓子をもらう秋の行事とは

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ハロウィンは毎年10月31日、キリスト教の「諸聖人の日」の前の夜に行われます。お化けや魔女に変装した子どもたちが、かぼちゃのランタンを飾り、家々を回ってお菓子をもらう行事です。

ただし、今の形はこの100年ほどで整ったものです。約120年前のアイルランドでは、ランタンはカブで作られていました。この記事では、日付の由来からアメリカと日本の市場規模まで、数字を追いながらハロウィンの姿をたどります。

10月31日に重なった、3つの日

ハロウィンの日付は動きません。翌11月1日が、キリスト教の「諸聖人の日」だからです。英語ではAll Hallows' Dayと呼びます。その前の夜がAll Hallows' Eve(諸聖人の日の前夜)で、これが縮まってHalloweenという言葉になりました。

この日付には、3つの行事が重なっています。

アメリカのテレビ局HISTORYのサイトは、ハロウィンの起源をサウィンにさかのぼるとしています。ただし、サウィンがそのままハロウィンに変わったのではありません。キリスト教の2つの祝日と混ざり合いながら、形を変えてきました。人々がかがり火をたき、仮装をして過ごしたという言い伝えが、今の仮装の源とされています。

お菓子をもらう習慣は、諸霊の日の習わしにつながります。イギリスでは、貧しい人々が家々を訪ね、「ソウルケーキ」という菓子を受け取りました。代わりに、その家の亡くなった人のために祈ったのです。お菓子と祈りの交換が、時代を経てお菓子といたずらの交換に変わりました。

ランタンは約120年前、カブで作られていた

アイルランド国立博物館には、カブをくり抜いたランタンが残っています。1943年、ドニゴール州フィンタウン近くの村の先生が寄贈したものです。寄贈の時点で約40年前の品で、20世紀の初めごろに作られたことになります。先生は、その地域ではもう作られなくなったが、まだ覚えている人はいると話しました。

ただし、カブのランタンを特定の移民がアメリカへ持ち込んだ、と言い切れる記録はありません。同博物館の学芸員クローダ・ドイルは、移民との直接の関係を示す証拠は、今後も見つからない可能性が高いと話しています。一方で、アイルランドで作られていたことは確かだ、とも述べています。

本物のカブは傷んで崩れかけたため、博物館は石こうで型を取り、複製を作りました。19世紀の記録にも、ハロウィンのランタンは「ふつうはカブで、ときには大きなジャガイモで」作ると書かれています。

かぼちゃが主役になったのは、アメリカです。19世紀、ジャガイモ飢饉を逃れた多くのアイルランド人がアメリカへ渡り、ハロウィンを全国に広めました。米国農務省によると、2021年のかぼちゃの生産量はイリノイ州だけで6億5200万ポンド(約2億9600万キログラム)。全米の4分の1を超えます。ただしイリノイ州のかぼちゃは、多くがパイの具などの加工用です。飾りや彫刻に使われるのは、主にほかの州のかぼちゃです。2位以下はインディアナ州の1億8100万ポンド、カリフォルニア州の1億5700万ポンドと続きます。

「ジャック・オ・ランタン」という名前は、ケチなジャックという男の言い伝えに由来するとされます。悪魔をだましたジャックは天国にも地獄にも入れず、地上をさまよい続けた、という民間伝承です。実在の人物の記録ではありません。

アメリカのハロウィンを数字で見る

アメリカでも、ハロウィンはすぐには定着しませんでした。植民地時代のニューイングランドでは、プロテスタントの戒律が厳しく、祝うことはごく限られていました。一方、メリーランドや南部の植民地では、比較的よく祝われていました。

19世紀の終わりには、幽霊やいたずらより、地域の集まりとして楽しむ方向へ変わっていきます。家々を回ってお菓子をもらう今の形は、1920年代から1950年代にかけて広まりました。

アメリカのハロウィン(全米小売業協会NRFの2026年調査ほか)
項目数字
支出総額の見込み(2026年)135億ドル
過去最高だった2025年の支出131億ドル
祝う予定の人74%
1人あたりの支出115.14ドル
お菓子を配る人/仮装する人/家を飾る人61%/50%/42%

支出は年々伸びています。NRFによると、2022年は参加がコロナ禍の前の水準に戻り、支出が記録を更新しました。その後も2023年に122億ドル、2025年に131億ドルと、最高額を塗り替えています。

HISTORYによると、アメリカで1年間に売れるお菓子の4分の1は、ハロウィンのために買われます。飾り用のかぼちゃの値段も、ニュースになります。米国農務省は、2022年10月の第3週のランタン用かぼちゃの小売価格を、1個あたり平均5.07ドルとしていました。

日本のハロウィンを数字で見る

日本でも、ハロウィンは秋の大きな行事になりました。ただし最近は、物価高の影響が数字に出ています。

日本のハロウィン(インテージの2025年調査と、渋谷の人出の推移)
項目数字
市場規模(2025年)1,673億円(前年比93%)
予定がある人の平均予算(2025年)7,192円(前年の約1.1倍)
渋谷の当日ピークの人出(2019年)10万人以上
同(2023年)6万人弱

調査会社のインテージは、全国の15〜79歳の5,000人に聞いて、2025年の市場規模を推計しました。ハロウィンに予定がある人は前年より減り、増える理由も減る理由も、いちばん多かったのは物価高でした。「限定商品を買う」「料理」「お菓子を配る・もらう」といった過ごし方の多くも、前年を下回っています。

渋谷の当日の人出は、2019年に比べて抑えられています。渋谷区は2024年10月から、路上などでの夜間の飲酒を条例で通年禁止にしました。アメリカでは家々を回る子どもの行事として広まったハロウィンが、日本では街に集まる大人の行事としても育ったわけです。

サウィンの夜にまつわる言い伝えや、ケルトの人々が語り継いだ物語は、この記事では触れきれません。妖精や英雄が登場するケルトの神話は、文庫で通して読むと、ハロウィンの背景がより立体的に見えてきます。

よくある疑問

ハロウィンは、もともとアメリカのお祭りですか?
違います。起源はヨーロッパの古代ケルトの祭りサウィンと、キリスト教の諸聖人の日・諸霊の日です。アメリカへは19世紀にアイルランドからの移民が多く持ち込み、かぼちゃのランタンやお菓子めぐりの形が整いました。

まとめ

ハロウィンは、3つの日が10月31日に重なってできた行事です。ケルトのサウィンと、キリスト教の諸聖人の日・諸霊の日です。ランタンは約120年前のアイルランドではカブで、アメリカに渡ってかぼちゃに変わりました。今ではアメリカで135億ドル、日本で1,673億円が動く秋の行事です。

今年の10月31日、かぼちゃのランタンを見かけたら、元はカブだったことを思い出してみてください。祭りの形は、渡っていった土地で採れるものに合わせて変わります。

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