生き物

サメの歯は一生で何本生え変わるか知っていますか?

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
サメの歯は一生で何本生え変わるか知っていますか?

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サメの歯は一生生え変わり続けます。平均すると1週間に1本以上が抜け、レモンザメでは一生に3万本を超える歯を落とすという計算もあります。

抜けた穴は、早ければ24時間ほどで後ろの列の歯が埋めます。この記事では仕組みを押さえたうえで、水族館で控えの歯を見つける方法と、化石になったサメの歯を探す方法を紹介します。

あごの骨に植わっていない歯

人の歯は、あごの骨のくぼみに根を下ろしています。サメの歯は違います。サメの保護団体Save Our Seas財団によると、サメの歯は何列も並び、結合組織であごに付いているだけです。強い力がかかると、歯のほうが先に外れます。

そのかわり、口の内側には次の歯が何列も控えています。実際に獲物をとらえるのは、前の1〜2列だけ。前の歯が抜けると、すぐ後ろの歯が前に出て穴を埋めます。歯はベルトコンベアのように、内側から外側へ送り出されていくのです。

1週間に1本以上なら、1年で50本を超える計算です。レモンザメの3万本も、こうした抜ける速さから見積もった数で、種類によって大きく変わります。抜け方は種類によっても違います。ダルマザメは、下あごの歯を1枚の板のように丸ごと落とし、獲物と一緒に飲み込んでしまうことが多いといいます。

一生生え変わる仕組み

歯を作り続けられる理由は、口の中の「歯堤(してい)」という組織にあります。歯のもとを作る、帯のような組織です。

人の歯堤は、歯を作り終えると細かく崩れていきます。2019年に科学誌サイエンティフィック・リポーツに載った論文でも、人の歯を作り直す力は2世代目(永久歯)と奥歯ができたあとに失われる、という見方が紹介されています。

同じ論文では、ハナカケトラザメの歯堤も調べられました。歯を送り出す帯の端に、幹細胞の目印として知られるSOX2というたんぱく質が見つかっています。サメはこの「歯の工場」を一生止めずに動かしている、というわけです。

歯の作られ方にも違いがあります。サメの歯のいちばん外側の層は、動物が作る物質の中でも特に硬いものの1つです。人の歯ではエナメル質が最後にできますが、サメではこの外側の層が最初にできます。

「一生」の長さも、種類によって大きく違います。アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、北の海にすむニシオンデンザメは体長6メートルを超えますが、1年に1センチも育ちません。大人になるまでに100年以上かかり、調べた中で最も大きい体長5メートルのメスは、272〜512歳と推定されました。年齢は、生まれる前にできて一生変わらない目のたんぱく質を、放射性炭素で調べて割り出しています。

水族館で控えの歯を探す

生え変わりの仕組みは、水族館でも確かめられます。サメが口を少し開けて泳ぐときが狙い目です。

  1. 水槽の正面で、サメがこちらへ向かって泳いでくるのを待つ
  2. 口が開いたら、いちばん外側の立った歯の列を見つける
  3. その内側に、寝かせたように並ぶ歯の列を探す。これが控えの歯
  4. 歯の形を、下の表のどれに近いか当てはめる
  5. 解説パネルで、そのサメが何を食べるかを確かめる

サメは現在500種以上いて、歯の形もさまざまです。形は、食べ物とよく対応しています。

サメの歯の形と食べ物(Save Our Seas財団の解説をもとに作成)
歯の形働き例
のこぎり形(ふちがギザギザ)大きな獲物を切るホホジロザメ、イタチザメ(ウミガメの甲羅も切る)
針形(細くとがる)エイやイカ、魚をつかむカラクサオオセ
臼形(平たく厚い)貝やエビ・カニの殻を砕くシノノメサカタザメ
かぎ形(曲がった先)滑りやすい魚を引っかけるフックトゥースシャーク

ジンベエザメのように小さな生き物を水ごと吸い込むサメは、歯がごく小さく、食べるのにはほぼ使いません。オオメジロザメのように、上あごと下あごで歯の形が違うサメもいます。

化石になった歯を探す

抜けた歯は海の底に沈み、長い時間をかけて化石になります。サメの体はほとんどが軟骨で、軟骨は化石に残りにくいもの。硬い歯だけが残るため、サメの歯は世界でいちばん多く見つかる脊椎動物の化石です。

化石になる仕組みはこうです。酸素の少ない泥や砂に歯が埋もれると、鉱物を溶かし込んだ水が歯の細かなすき間にしみこみます。その鉱物がすき間で結晶になり、歯は石のように硬くなります。化石の色は、埋もれていた土や砂で決まります。歯の本体と根元では成分が違うので、同じ1本でも色が分かれることがあります。

実際に探せる施設もあります。埼玉県の東松山市化石と自然の体験館は、産業団地を造るときに見つかった、サメの歯の化石を多く含む礫岩を残して2016年4月に開きました。この一帯は約1,500万年前、海の底でした。屋内の発掘体験は事前予約制です。探すときの手順は次のとおりです。

  1. 最初に、サメの歯の形(先のとがった三角形と、色の違う根元)を頭に入れる
  2. 砂をふるいにかけ、残った粒を少しずつ広げる
  3. とがった三角形のかけらを探す
  4. 見つけたら、ルーペでふちのギザギザや根元の形を確かめる
  5. 迷ったものは、係の人に見てもらう

サメ以外の生き物の小さな化石も混じるので、石ころと見分けるには形を覚えておくのが近道です。

埼玉県では、もっと大きな歯も見つかっています。1986年、深谷市(旧川本町)の約1000万年前の地層から、メガロドンの歯の化石が出ました。埼玉県立自然の博物館によると、少なくとも体長15メートルに達したとされる巨大なサメです。2023年には、同じ深谷市で見つかったうろこの化石の研究も発表されました。ふだんは時速2キロ前後でゆっくり泳ぎ、獲物を捕らえるときだけ速く泳いだと考えられています。

観察に使える道具と図鑑

小さな歯の形を見るためのルーペと、歯の写真が大きく載った図鑑を選びました。価格は2026年10月時点の楽天市場の表示です。

ルーペ:池田レンズ LEDライト付き手持ちルーペ W-130LH 約4,200円。直径130ミリの大きなレンズ(1.8倍)に、6倍の小さなレンズが付いています。
向いている人:化石の歯のふちのギザギザや、根元の色の違いを確かめたい人。注意:LEDの電池の種類は商品ページで確かめてください。

図鑑:サメ(学研の図鑑LIVE エクストリーム) 約2,420円。アクアワールド茨城県大洗水族館の監修で、サメの歯を実物大で載せています。
向いている人:水族館で見たサメの歯の形を、家で見比べたい親子。注意:出版社のおすすめ年齢は6〜12歳からで、大人向けの専門書ではありません。

よくある疑問

サメの歯は虫歯になりますか?
虫歯になりません。Save Our Seas財団によると、歯の表面にフッ素が含まれているためです。歯のいちばん外側の層は、動物が作る物質の中でも特に硬いものの1つです。
浜辺の黒い三角形の石は、サメの歯の化石ですか?
その可能性はあります。サメの歯は海岸の砂や、海に近い川の砂からも見つかります。ただし、採集を禁じている場所もあります。拾う前に、その土地の決まりを確かめてください。

まとめ

サメの歯は、あごの骨ではなく結合組織に付いていて、平均で1週間に1本以上が抜けます。口の中の歯堤が一生働き続けるため、レモンザメでは一生に3万本を超える計算です。

ニシオンデンザメのように少なくとも250年生きるサメは、それだけの年月、歯を送り出し続けるわけです。次に水族館へ行ったら、いちばん前の歯ではなく、その奥で寝ている控えの列を探してみてください。

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