地球の生き物の半分は昆虫?その種類の多さ
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人間が名前を付けた生き物は、およそ217万種です。そのうち約100万種が昆虫で、割合にすると46%。名前の付いた生き物の半分近くを、昆虫が占めています。
しかも、この100万種は地球にいる昆虫の一部にすぎません。全体はおよそ500万種、多い推定では1000万種とされ、大半はまだ名前がないままです。この記事では、昆虫の多さを数字で順にたどります。
名前のある生き物の46%が昆虫
データサイトのOur World in Dataは、国際自然保護連合(IUCN)の2025年の集計をもとに、記載済みの生き物を約217万種としています。記載とは、新しい種として名前を付け、論文で発表することです。
| グループ | 記載済みの種 | 昆虫との比 |
|---|---|---|
| 生き物全体 | 約217万種 | — |
| 昆虫 | 約100万種 | 全体の約46% |
| うち甲虫 | 35万〜40万種 | 昆虫の約4割 |
| 爬虫類 | 1万2000種あまり | 昆虫の約80分の1 |
| 鳥類 | 1万1000種あまり | 昆虫の約90分の1 |
| 哺乳類 | 6000種あまり | 昆虫の約170分の1 |
鳥と哺乳類と爬虫類を全部足しても、約3万種です。昆虫の100万種とは、桁が2つ違います。
資料によっては「生き物の半数以上が昆虫」と書かれます。英国王立昆虫学会は、昆虫は動物の種の最大90%、生き物全体の半分以上を占めると推定しています。細菌や菌類まで含めるか、動物だけで数えるかで、割合は動きます。どの数え方でも、昆虫が最大のグループであることは変わりません。
217万という数字にも、注意点が1つあります。同じ種に別々の名前が付いた「重複」が混ざっていることです。2013年の研究は、記載された種の約2割がこうした重複だと見積もりました。そうだとすると、実際に別の種として区別できるのは約170万種になります。
昆虫の4割近くが甲虫
昆虫の中で最大のグループは、カブトムシやテントウムシ、ゾウムシなどの仲間のコウチュウ目(甲虫)です。記載された種は35万〜40万種あり、昆虫全体の4割近くになります。
英国王立昆虫学会によると、甲虫に続いて多いのはチョウとガの仲間です。その次がハエやカの仲間、アリ・ハチの仲間と続きます。それでも甲虫1つのグループで、哺乳類のおよそ60倍の種がいます。
新しく見つかる種でも、甲虫は目立ちます。アリゾナ州立大学の国際種探査研究所によると、2009年に新たに記載された生き物は1万9232種でした。うち昆虫が9738種で、全体の50.6%。2位の植物(維管束植物)は2184種で11.3%なので、昆虫はその4倍以上です。甲虫だけで3485種あり、新種のおよそ5〜6種に1種が甲虫だった計算です。
全部で何種いるのか
まだ名前のない種まで含めた総数は、推定に大きな幅があります。これまでの推定は多いもので1億種以上、少ないもので200万種。50倍もの開きがありました。英国王立昆虫学会は、地球の昆虫は最大で1000万種いる可能性があるとしています。オーストラリアのグリフィス大学のナイジェル・ストーク教授は、自身が発表した約500万種という値が、合意された数字としてよく使われていると説明しています。
500万種で計算すると、名前が付いているのは約2割。残りの約8割、およそ400万種は、まだ誰も記載していないことになります。
新種の記載は、昆虫で年に1万種前後のペースです。2009年の9738種のペースが続くとすると、残る400万種に名前を付け終えるまで、およそ400年かかる計算になります。
| 記録・記載された種 | 推定される総数 | 分かっている割合 | |
|---|---|---|---|
| 世界 | 約100万種 | 約500万種(最大1000万種) | 約2割 |
| 日本 | 約3万2000種 | 10万種以上 | 約3分の1 |
日本も例外ではありません。日本昆虫学会によると、日本から記録された昆虫は約3万2000種です。実際には10万種以上いると推定され、解明率は3分の1程度にとどまります。研究が進んだ国でも、昆虫の3分の2ほどは、まだ記録の外にいることになります。
数を増やした理由を数字で見る
昆虫がここまで種を増やした理由として、ノースカロライナ州立大学の昆虫学の教材は、外骨格・小さな体・飛ぶ力・高い繁殖力・完全変態の組み合わせを挙げています。昆虫は4億年以上前から地上で暮らし、少なくとも4回の大量絶滅を生き延びてきました。その強さを支えた特徴を、数字で見ます。
- 外骨格:体の外側の硬い殻が、乾燥や攻撃から体を守ります。殻に直接ついた筋肉は効率がよく、アリは体重の最大50倍の物を持ち上げられます
- 体の大きさ:多くの種は体長2〜20ミリ。最小のハチ(ホソハネコバチ科の一種)の雄は0.139ミリで、単細胞のゾウリムシより小さい種類もいます
- 飛ぶ力:無脊椎動物で飛べるのは昆虫だけ。化石から、約3億年前には飛んでいたと見られています。北米のチョウのオオカバマダラでは、カナダで印を付けた1匹が4か月後に2800キロ離れたメキシコで見つかりました
- 繁殖力:ふつうの雌は一生に100〜500個の卵を産みます。1687年、オランダのレーウェンフックはハエを育て、1匹の雌から平均144匹の子が生まれることを確かめました。死ぬ個体がいないと仮定すると、6代目には約38億7000万匹になる計算です。アフリカのシロアリの女王は、20〜25年の一生で1000万匹を超える働き手の母になることがあります
- 完全変態:昆虫28目のうち、さなぎを経る完全変態をするのは9目だけ。ところが、この9目に現在の昆虫の約86%が入ります
体が小さいと、1枚の葉の中や1個のどんぐりの中が、一生の住まいになります。1枚の葉の薄い内側を掘り進んで育つ幼虫(ハモグリ)や、1個のどんぐりの中で巣全体が暮らすアリが例です。すみかが細かく分かれるほど、別の種に分かれる余地が増えます。
完全変態では、幼虫と成虫で食べ物や暮らす場所を分けられます。チョウの幼虫は葉を食べ、成虫は花の蜜を吸います。親と子が同じ資源を取り合わないことが、昆虫の成功の一因とされています。
甲虫やチョウの仲間が、実際にどれほど形も色も違うのか。数字で追うより、標本の写真を並べて見るほうが、種類の多さを実感しやすい話です。
よくある疑問
- 種類だけでなく、数(匹数)も多いのですか?
- 多いと推定されています。英国王立昆虫学会によると、ある時点で生きている昆虫は、人1人あたり約14億匹です。すべての昆虫の重さを合わせると、すべての人間の約70倍になるとされます。
- 名前のない昆虫は、どこに多いのですか?
- 調査の手が届きにくい熱帯の森や、種類が多すぎて研究者の手が回らないグループに多いと考えられています。グリフィス大学の研究では、ボルネオのハネカクシ(甲虫の一種)252種と、オーストラリアの湿潤熱帯のキクイムシ107種が調べられました。キクイムシは、107種のうち58種が未記載でした。
まとめ
名前の付いた生き物約217万種のうち、昆虫は約100万種で46%を占めます。その4割近くが甲虫です。それでも名前が付いているのは推定される総数の約2割で、日本でも約3分の1にとどまります。
今のペースなら、すべての昆虫に名前が付くまで数百年かかります。次に庭や公園で小さな虫を見かけたら、図鑑で名前を探してみてください。名前が見つからない虫も、きっと出てきます。それが、まだ記録されていない種だという可能性もゼロではありません。
参考にした資料
- Our World in Data — How many species are there?
- Royal Entomological Society — Facts and figures
- NC State University, ENT 425 General Entomology — Success
- Griffith University — ナイジェル・ストーク教授による昆虫の未記載種の研究(2024年)
- EurekAlert!(Arizona State University) — 2011 State of Observed Species report(2009年の新種)
- 日本昆虫学会 — 日本の昆虫 The Insects of Japan