科学

コップの外側になぜ水滴がつく?結露のしくみ

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
コップの外側になぜ水滴がつく?結露のしくみ

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冷たいコップの外側につく水滴は、中身がしみ出したものではありません。まわりの空気にひそんでいた水蒸気が、コップに冷やされて水に戻ったものです。この現象を結露といいます。

冬の窓がびっしょり濡れるのも、同じ仕組みです。結露は「冷たい面」と「湿った空気」がそろうと起きるので、対策もこの2つのどちらかを崩すことになります。

水滴の正体は、水に戻った水蒸気

空気の中には、目に見えない水が気体の形で混ざっています。これが水蒸気です。1立方メートルの空気に入る水蒸気の量には上限があり、これを飽和水蒸気量といいます。上限は気温で大きく変わります。

気温と飽和水蒸気量(1立方メートルあたり・Wikipediaの表をもとに作成)
気温飽和水蒸気量20℃のときと比べると
0℃約4.8グラム約3割
10℃約9.4グラム約5割
15℃約12.8グラム約7割
20℃約17.3グラム基準
30℃約30.4グラム約1.8倍

暖かい空気ほど、多くの水蒸気を抱えていられます。水面では水の分子が絶えず飛び出して気体になり、同時に気体の分子が水へ戻っています。温度が高いほど飛び出す勢いが強く、気体のままでいられる分子が増えるのです。

では、水蒸気を含んだ空気が冷やされると、どうなるか。気象庁は「露点温度」を、水蒸気の量を変えずに温度を下げたとき、相対湿度が100%になる温度と定めています。露点より冷たい面に触れた空気は、抱えきれなくなった分を手放し、それが水滴になります。

例で確かめてみます。20℃で湿度60%の部屋の空気には、1立方メートルあたり約10.4グラムの水蒸気が入っています。表を見ると、この量が上限になるのは10℃と15℃の間、およそ12℃です。つまりこの部屋では、表面が12℃くらいより冷たい物に水滴がつきます。氷水のコップも、冬の窓ガラスも、この条件を満たしています。

よくある誤解

結露はありふれた現象のわりに、思い違いの多い話題です。よく聞く3つを取り上げます。

「コップの水がしみ出している」 ガラスのコップは水を通しません。その証拠に、湿度の低い日は、同じ氷水を注いでもコップがほとんど濡れないことがあります。水滴の量を決めているのは中身ではなく、まわりの空気です。

「結露は冬だけの現象」 国土技術政策総合研究所(国総研)は「夏型結露」も挙げています。夏にエアコンで冷房した家では、湿気をたっぷり含んだ外の空気が温度の低い床下で水滴になることがあります。冷たい面と湿った空気がそろえば、季節は関係ありません。

「暖房をつければ結露は減る」 暖房の種類によります。国総研によると、灯油1リットルを燃やすと、約1.13キログラムの水蒸気が出ます。石油やガスのファンヒーター(FF式を除く)を使う部屋は、暖まるのと同時に水蒸気も増えるので、こまめな換気が必要です。エアコンや床暖房は、一般に水蒸気を出しません。

冬の窓が濡れる理由

冬の窓で結露が起きやすいのは、窓が家の中でいちばん冷えやすい場所だからです。国総研は、素材ごとの熱の伝えやすさ(熱伝導率、単位はW/mK)を挙げています。サッシに多いアルミニウム合金は200で、塩化ビニル(樹脂サッシ)の0.17と比べて1000倍以上です。普通の板ガラスは1で、空気の0.0241の40倍ほどあります。外の寒さがアルミの枠とガラスを伝わって、室内側の表面まで冷やしてしまうのです。

家の中の空気の動きも効いてきます。国総研は、暖房した部屋の空気が暖房していない部屋へ移り、冷えたガラスで結露する例を挙げています。断熱の弱い家では、夜に暖房を切ると壁の内側や内装の温度が下がり、そこで結露することもあります。

結露を放っておくと、困るのは見た目だけではありません。国総研は、結露を防ぐとカビやダニ、木材を腐らせる腐朽菌が増えるのを抑えられると説明しています。

結露を減らす対策

対策は、冒頭の2つの条件に分けて考えると整理できます。

湿度の目安について、国総研は厚生労働省の資料を引いて50〜60%を挙げています。同時に、室内の湿度が高すぎると結露とカビのリスクが上がるとも書いています。加湿器を使う冬は、窓の濡れ方を見ながら加減するのが現実的です。

結露対策に使える道具

「窓を冷やしすぎない」「出た水を取る」「湿度を確かめる」の3つの役割で、1点ずつ選びました。価格は2026年10月時点の楽天市場の表示です。

結露防止シート:窓ガラス 結露防止シート E1590(プチプチシート) 約1,320円。厚さ7ミリの3層の空気層で、ガラスの冷えを室内側に伝えにくくするシートです。霧吹きで水を吹きつけて貼るので、はがしやすいのも特徴です。サイズは約90×180センチ。
向いている人:賃貸などで窓そのものを替えられない人。向かない人:網入りガラスなど特殊なガラスの窓(商品ページで貼れないと明記)。窓の外の景色は見えにくくなります。

結露吸水テープ:強力結露吸水テープ 10m(幅30mm) 約1,650円。窓ガラスの下の方に貼り、流れ落ちる水を吸わせるテープです。商品ページの表示では、1メートルあたり最大約130グラムを吸います。
注意:吸える量には限りがあります。灯油1リットル分の水蒸気(約1.13キログラム)を全部受けるには、計算上9メートル近く要ります。換気と組み合わせ、濡れたら乾かすか貼り替えてください。網入りガラスや真空二重ガラスには貼れません。

温湿度計:HATUSOKU デジタル温湿度計 約1,000円。温度と湿度を同時に表示する手のひらサイズの計器で、スタンドとマグネットで置けます。
向いている人:国総研の勧めどおり、結露しやすい部屋の湿度を見張りたい人。上の表と組み合わせれば、その日の露点の見当もつきます。注意:表示の誤差は商品ページで確かめてください。

自分でやるのが大変なら 冬の結露を放っておくと、窓まわりや浴室にカビが出やすくなります。家の掃除で取り切れないカビは、プロに頼む方法もあります。
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よくある疑問

結露防止シートを貼れば、結露はなくなりますか?
減らせますが、ゼロにはなりません。シートが和らげるのはガラスの冷えで、熱を伝えやすいアルミの枠はそのまま残ります。部屋の空気が湿りすぎていれば、シートの端や枠で結露します。換気で湿度を下げることと組み合わせてください。
露点は家で確かめられますか?
目安なら確かめられます。金属のコップに水を入れ、氷を少しずつ足しながら水温を測ります。外側がくもり始めたときの水温が、その部屋の露点に近い値です。英国の化学者ジョン・フレデリック・ダニエルが1820年に発表した露点湿度計も、面を冷やしてくもる温度を読む道具でした。今の精密な露点計は、冷やした鏡に付く露を光で検知し、0.2℃ほどの精度で測ります。

まとめ

コップや窓の水滴は、空気が抱えきれなくなった水蒸気が、露点より冷たい面で水に戻ったものです。20℃で湿度60%の部屋なら、12℃くらいより冷たい面が濡れます。

次に窓が濡れていたら、まず温湿度計で部屋の湿度を見てください。高ければ換気や暖房器具の見直しを、湿度がほどほどでも濡れるなら窓の断熱を考える。どちらの条件を崩すかが分かれば、打つ手は自然に決まります。

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