雑学

複利はなぜ雪だるまに例えられる?お金が増える仕組み

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
複利はなぜ雪だるまに例えられる?お金が増える仕組み

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複利とは、ついた利子を元本に組み入れて、その合計に次の利子をかける仕組みです。利子が利子を生むため、同じ金利でも単利より増え方が速くなります。

ただし、差がはっきり見えるまでには長い時間がかかります。100万円を年利3%で預けた場合、単利との差は10年で約4万4千円、30年で約52万7千円です。この記事では、その差が開いていく様子を、表計算ソフトや暗算で自分の手で確かめる方法を紹介します。

足し算か、掛け算か

全国銀行協会の説明では、単利は最初に預けた元本にだけ利子がつく方式です。元利合計は「元金×(1+年利率÷100×預入期間)」で求めます。

いっぽう1年複利の元利合計は「元金×(1+年利率÷100)の年数乗」です。単利は毎年同じ額を足していく計算で、複利は毎年同じ倍率を掛けていく計算。ここが分かれ道になります。

ただし、最初のうちは差がほとんど開きません。100万円を年利3%で預けると、10年後は単利で130万円、複利で約134万4千円。開いた差は4万4千円ほどです。

なぜ雪だるまに例えられるの?

複利では、増えた分がそのまま翌年の元本になります。元本が大きくなれば、金利が同じでも1年に生まれる利子の「額」が増えていきます。

雪だるまを転がすと、玉が大きくなるほど1回転で巻き取る雪の量が増えます。複利もこれと同じ構造です。さきほどの100万円は、20年で約180万6千円、30年で約242万7千円になります。

単利の30年後は190万円ですから、差は10年時点の4万4千円から52万7千円へと広がります。最初の10年で開いた差は4万4千円なのに、最後の10年だけで30万円以上も開く計算です。増え方が加速するのは、後半に入ってからです。

財務省中国財務局は、複利の効果を大きくする条件として「金利が高いこと」と「運用期間が長いこと」の2つを挙げています。裏を返せば、期間が短ければ、金利が高くても単利とたいして変わりません。

表計算ソフトで確かめる

雪だるまの転がり方は、表計算ソフトがあれば5分で確かめられます。Excelでも、Googleスプレッドシートでも同じです。

  1. A1に「年」、B1に「単利」、C1に「複利」と入力する
  2. A2に0、B2とC2に1000000(100万円)を入れる
  3. A3に「=A2+1」、B3に「=B2+30000」、C3に「=C2*1.03」と入れる
  4. A3からC3を選んで、下へ30行ほどコピーする
  5. D列に「=C2-B2」を入れて同じようにコピーし、差の広がりを見る

B列は毎年3万円を足し、C列は毎年1.03を掛けています。足し算と掛け算の違いが、そのまま列の違いになります。30年目の行を見ると、B列は190万円、C列は約242万7千円です。

余裕があれば、D列の数字をグラフにしてみてください。E列に「=C3-C2」を入れれば、その年に増えた額も見られます。1年目は3万円ですが、30年目には約7万700円です。同じ3%でも、1年に生まれる利子は2倍以上に育ちます。D列のグラフは、最初はほぼ横ばいで、後半ほど急に立ち上がる線になります。金利を1.03から1.01や1.05に変えると、線の曲がり方が大きく変わることも分かります。

表計算ソフトが手元になければ、金融庁の「つみたてシミュレーター」も使えます。毎月の積立額・想定利回り・積立期間を入れると、将来の額を試算します。ただし金融庁は、結果は将来の予測や保証ではない、と明記しています。

72の法則は、どこまで正しい?

2倍になるまでの年数は、暗算でも見当がつきます。野村證券の用語解説によると、72を金利(%)で割ると、複利で元本が2倍になるまでの目安の年数が出ます。年利3%なら72÷3で約24年。実際に1.03を24回掛けると2.03倍になり、答えはほぼ一致します。

どれくらい正確かは、表計算ソフトで確かめられます。正確な年数は「=LN(2)/LN(1.03)」のように、対数を使って求めます。

72の法則の目安と、正確に計算した年数(1年複利で2倍になるまで)
年利72÷年利正確な年数
1%72年約69.7年
2%36年約35.0年
3%24年約23.4年
6%12年約11.9年
8%9年約9.0年
15%4.8年約5.0年

年利6〜10%のあたりで、目安はほぼぴったり合います。金利が低いほど、72の法則は年数を長めに出します。計算上ぴったり合う数は約69.3ですが、72が使われるのは2・3・4・6・8・9・12で割り切れて、暗算しやすいからです。

同じ解説は、年利0.01%なら100万円が200万円になるまで約7200年かかると示しています。正確に計算しても約6,930年で、どちらにしても人の一生では届きません。

自分の預金で確かめるときの3つの点

計算どおりに増えるとは限りません。実際の預金で複利を確かめるなら、次の3点を見ておきます。

1つ目は、利息を元本に組み入れているかです。利息を受け取って使えば、元本は増えず、単利と同じ増え方に戻ります。定期預金では、満期のときに元本と利息をまとめて預け直す「元利継続」と、元本だけを預け直す「元金継続」を選べることがあります。複利の形になるのは、前者です。

2つ目は、税金です。国税庁によると、預貯金の利子からは所得税と復興特別所得税15.315%、地方税5%が差し引かれます。合わせて20.315%です。年利3%でも、手元に残るのは約2.39%分。100万円を30年置いた計算では、約242万7千円が約203万1千円まで下がります。

3つ目は、利息を組み入れる間隔です。全国銀行協会は、同じ複利でも、1年複利より半年複利のほうが増え方は速いと説明しています。年利3%を半年ごとに1.5%ずつ組み入れると、30年後は約244万3千円。1年複利より約1万6千円多くなります。

この計算は借りる側にも同じように働きます。支払わずにいる利息が元本に組み入れられれば、返す金額のほうが加速します。年15%なら、72の法則で約4.8年、正確には約5年で2倍です。

よくある疑問

複利なら、短い期間でも大きく増えますか?
増えません。年利3%で5年なら、複利は約1.159倍、単利は1.15倍です。100万円で比べた差は約9千円にすぎません。複利の差が目立つのは、10年、20年と年数を重ねてからです。
物価が上がると、複利の増え方はどう見ればいいですか?
お金の額と、そのお金で買える量は別に考えます。たとえば年利が1%で、物の値段が毎年2%上がるなら、額は増えても買える量は毎年約1%ずつ減ります。この減り方も、毎年同じ倍率を掛ける複利の形です。表計算ソフトのC列の倍率を、1.01÷1.02に変えると確かめられます。

預金金利がどう決まるのか。日本銀行の政策金利と、どう関係するのか。この記事では、そこまで深入りしていません。金利の決まり方まで一冊で順に追うなら、入門書のほうが整理しやすい話です。

まとめ

複利は、毎年同じ倍率を掛け続ける計算です。100万円を年利3%で30年置くと約242万7千円になり、単利との差は約52万7千円。ただし最初の10年では4万4千円しか開きません。

まずは表計算ソフトに、上の5つの手順を入れてみてください。金利と年数を変えながら線の曲がり方を見ると、雪だるまに例えられる理由が手でつかめます。

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