雑学

夜の自転車は前後にライト必須、自転車大国オランダの決まり

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
夜の自転車は前後にライト必須、自転車大国オランダの決まり

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オランダでは夜に自転車に乗るとき、前に白か黄色、後ろに赤のライトをつけることが法律で決まっています。根拠は道路交通規則RVV1990の第35条で、点滅させると違反です。

日本も前後の明かりを求めますが、後ろは反射板で代用でき、点滅を補助に足すことは禁じていません。この記事では、2つの国の決まりを表で比べ、日本の道で決まりを満たすライトを紹介します。

オランダの決まり:色・点滅・つける場所

RVV1990の第35条は、暗いときや、昼間でも視界がひどく悪いときに自転車へライトをつけるよう求めています。前は「白または黄色の光」、後ろは「赤い光」と、色まで条文に書かれています。濃い霧や大雨の日中も対象です。

条文は車輪の数にも目を配っています。子どもを乗せる箱付きの自転車のように前輪が2つある三輪車は、前に白か黄色のライトを2つ、中心線をはさんで左右対称につけなければなりません。

点滅の禁止は、続く第35a条にあります。第35条のライトは「点滅してはならない」とされています。同じ条では、他の人にとって眩しすぎないことと、前後から途切れずに見えることも求めています。

もう1つの特徴は、ライトを体につけてもよいことです。前の明かりは、乗る人が胸に白か黄色のライトをつけていれば、自転車になくてもかまいません。後ろの赤い明かりも、本人か後ろに乗る人が背中につければ認められます。

ただし、つける場所は自由ではありません。オランダの自動車・自転車団体ANWBによると、認められるのはハンドルとかばん、胸と背中です。頭や腕、脚につけたライトは違反になります。光は真っすぐ前、または真っすぐ後ろへ向け、上に物がかぶさってもいけません。

2008年の見直し:体のライトは認め、点滅は禁止

今の決まりの土台は、2008年の制度の見直しです。同年5月9日、交通・水利省の大臣は議会への書簡で、オランダ応用科学研究機構(TNO)に頼んだ調査の結論を報告しました。

大臣はこの結論に沿って、胴につけるライトを認め、点滅を禁止する改正を進めると書いています。大臣は、黄色の前照灯をいずれ廃止する考えも示しました。ただ、2024年7月時点の条文でも、前の光は「白または黄色」のままです。

反射板は、ライトとは別に必要です。

書簡では、改正をその年の秋に始まる自転車ライトの啓発キャンペーンに間に合わせ、広く知らせたいとも書いています。日が短くなる秋に、ライトの点検を呼びかけるのが恒例になっているわけです。

日本と比べる

日本では道路交通法の第52条が、夜に道路を走る車両に前照灯や尾灯などの灯火をつけるよう求めています。自転車も、この車両に含まれます。細かい基準は都道府県ごとの規則に任されていて、国で1つにはそろっていません。ここでは埼玉県の規則を例に比べます。

夜の自転車のライトの決まり(オランダはRVV1990とANWB、日本は埼玉県の規則による)
項目オランダ日本(埼玉県の例)
前の明かり白または黄色白または薄い黄色。夜間に10m先の障害物が見える明るさ
後ろの明かり赤赤または橙色。100m後ろから見える明るさ
反射板での代用不可(ライトと反射板の両方が必要)可(同じ色で、100m後ろから車のライトで見えるもの)
点滅禁止前の点滅は前照灯の代わりにならない
体につけるライト胸と背中なら可埼玉県の案内に記載なし

いちばん大きな違いは、後ろの反射板の位置づけです。日本では反射板があれば尾灯を省けますが、オランダでは反射板は赤いライトの代わりにならず、上乗せの装備です。反射板は、後ろから来る車のライトを受けて初めて光ります。無灯火の自転車や歩行者からは見えにくいので、オランダはライトと反射板の両方を求めていると読めます。点滅についても、埼玉県は「前照灯の代わりにはならない」としているだけで、補助として足すことは止めていません。

反則金と、自転車の使われ方

ANWBによると、オランダでライトがないか壊れている場合の反則金は75ユーロです。反射板の不備は45ユーロです。日本でも2026年4月1日から、16歳以上の自転車の違反に反則金の制度(青切符)が始まりました。大阪府警察の案内では、無灯火の反則金は5,000円です。傘差し運転や一時不停止と同じ額で、スマートフォンを手に持って運転した場合は12,000円です。

オランダがここまで細かく決めるのは、自転車が日常の足だからです。オランダ統計局(CBS)の2023年の調査では、6歳以上の人が1年に自転車で移動した量は次のとおりでした。

オランダの1人あたりの自転車利用(CBS、2023年・6歳以上)
指標値
全移動のうち自転車の割合27%(車に次いで2番目)
1年の自転車での移動回数約266回
1年の走行距離約1,065km
1年の乗車時間約96時間
移動距離全体のうち自転車の割合9%

1年に96時間は、1日あたり約16分です。回数では27%なのに、距離では9%にとどまります。自転車の移動の7割は3.7キロ未満で、買い物などの短い移動に使われているからです。日の短い冬も、これだけの人が暗い道へ出ていきます。

日本の道で決まりを満たすライト

日本で夜に走るなら、まず前に点灯できる白いライト、後ろに赤い反射板か尾灯が必要です。埼玉県の規則なら、前は10m先の障害物が見える明るさが基準になります。ここでは、日本の自転車用品メーカー、キャットアイの前後のライトを1点ずつ選びました。価格は2026年10月時点の楽天市場の表示です。

前照灯:キャットアイ HL-EL145 アーバン 約1,980円。JIS規格の基準に合う前照灯で、明るさは約800カンデラ。単3電池2本で、点灯なら約30時間使えます。
向いている人:通勤や通学で、街灯のある道を走る人。注意:電池が減ると暗くなり、約400カンデラに下がるまでが約10時間です。メーカーも、夜は点灯で使い、点滅は補助にとどめるよう書いています。

尾灯:キャットアイ TL-LD570-R リフレックスオート 約2,400円。反射板とライトが一体になった後ろ用で、暗い所で振動を感じると自動で光ります。単4電池2本で、点灯なら約30時間です。
向いている人:オランダのように、反射板とライトの両方で後ろを守りたい人。注意:止まってから約50秒で消えます。赤い反射板が付いていない自転車では、点滅ではなく点灯で使うよう、メーカーが求めています。

オランダで自転車を借りる前に

オランダの夜の決まりは、前に白か黄色、後ろに赤のライトを点けっぱなしにすることです。反射板も別にそろえます。体につけるなら胸と背中だけ。日本で使っている点滅ライトは、そのモードのままでは使えません。

旅行で自転車を借りるなら、走り出す前に前後のライトが点くかを見てください。点滅モードに切り替わっていないかも、合わせて確認します。日本の自転車も、後ろが反射板だけなら、オランダ流に赤いライトを足すかどうか考えてみる価値があります。

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