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光は1秒で地球7周半?光の速さの話

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
光は1秒で地球7周半?光の速さの話

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光は真空中を1秒間に29万9792.458キロメートル進みます。地球の赤道1周は約4万75キロなので、1秒で7.48周。「1秒で地球7周半」は、ほぼそのとおりの数字です。

しかもこの値は、測って求めたものではなく、1983年に人間が決めた値です。この記事では光の速さを数字で追いながら、300年かけて測り続けた歴史と、物の中で遅くなる理由を見ていきます。

1秒で7.48周、1ナノ秒で30センチ

真空中の光の速さは、秒速29万9792.458キロメートルです。地球の赤道1周(約4万75キロ)で割ると7.48。1周にかかる時間は、約0.13秒です。

逆に、とても短い時間で見てみます。1ナノ秒(10億分の1秒)に光が進むのは、約30センチです。1ギガヘルツで動くパソコンの部品なら、信号は1回のカチッという刻みのあいだに30センチほどしか進めません。GPSの受信機は、衛星からの電波が届くまでの時間で距離を測ります。時間が1ナノ秒ずれると、距離は約30センチずれる計算です。

距離を光の時間で言い換えると、宇宙の大きさも身近な数字になります。

いま見えている太陽は、8分あまり前の姿です。NASAは光年を、約9兆キロメートル(約6万3000天文単位)と説明しています。

1983年から「測らない数字」になった

光の速さには、測定の誤差がありません。1983年の国際度量衡総会で、1メートルを「光が真空中で2億9979万2458分の1秒間に進む距離」と決めたからです。光の速さを先に決め、そこから1メートルの長さを出す順番になりました。

それまでの1メートルは、物や原子が基準でした。1889年からは白金とイリジウムでできた国際メートル原器、1960年からはクリプトン86という原子が出す光の波長です。

切り替えの直前には、光の速さはすでに非常に精密に測れていました。1972年、米国国立標準局(NBS)の研究者たちは、秒速29万9792.4562キロメートルという値を得ています。誤差は毎秒1.1メートル。値がここまで固まったので、測る対象から、決めてしまう定数に変わったのです。今の国際単位系(SI)も、光の速さを299,792,458という固定の数字にしています。

300年かけて真の値に近づいた

かつて光は、一瞬でどこへでも届くと考えられていました。速さがあることを初めて示したのは、デンマークの天文学者オーレ・レーマーです。

レーマーはパリ天文台で、木星の衛星イオが木星の影に入る時刻を調べていました。1676年9月、11月9日の食が予報より10分遅れると予言します。実際の観測は5時35分45秒で、予報の5時25分45秒より、ちょうど10分遅れました。同じ年の11月21日、レーマーは「光が地球の公転軌道の直径を横切るのに約22分かかる」と報告しています。今の値は約16分40秒なので、だいぶ長めでした。

当時、パリ天文台の台長カッシーニは、光に速さがあるという考えに反対していました。それでもレーマーの報告は1676年12月に学術誌に載り、光の速さが有限だという考えは少しずつ受け入れられていきます。

光の速さを測ってきた歴史(英語版ウィキペディア「Speed of light」などをもとに作成)
年人物・方法結果
1676年レーマー:木星の衛星イオの食公転軌道の直径を約22分で横切る
1729年ブラッドリー:星の位置のずれ(光行差)太陽から地球まで8分12秒
1849年フィゾー:回る歯車と8キロ先の鏡秒速約31万5000キロ
1862年フーコー:回る鏡秒速約29万8000キロ
1926年マイケルソン:回る鏡秒速29万9796キロ(誤差4キロ)
1972年米国国立標準局:レーザー秒速29万9792.4562キロ(誤差0.0011キロ)
1983年国際度量衡総会秒速29万9792.458キロと定義

フィゾーの1849年の実験は、空ではなく地上で測った最初の例です。歯車の歯のすき間を通した光を8キロ先の鏡で跳ね返し、戻ってきた光が次の歯に遮られる回転の速さから、往復の時間を割り出しました。誤差は約5%。1729年のブラッドリーは、地球が動いているために星の位置が最大20.5秒角ずれて見える現象(光行差)から、太陽の光が届く時間を割り出しました。1930年代のマイケルソンらは、長さ1.6キロの真空の管の中で光を10回往復させ、誤差を秒速11キロまで縮めています。こうして100年あまりで、誤差は1億分の1を下回るところまで縮みました。

物の中では遅くなる

「光より速いものはない」の上限は、あくまで真空中の光の速さです。物質の中では、光そのものが遅くなります。どれだけ遅くなるかは屈折率で決まり、真空中の速さを屈折率で割った値が、その物の中での速さです。

物の中での光の速さ(屈折率は英語版ウィキペディアの一覧の値。速さは真空中の値を屈折率で割って計算)
物質屈折率光の速さ(秒速)
空気1.0003約29万9700キロ
水(20℃)1.333約22万4900キロ
氷1.31約22万8800キロ
ガラス(クラウンガラス)1.50〜1.54約19万5000〜20万キロ
ダイヤモンド2.417約12万4000キロ

水の中では、真空のおよそ4分の3の速さです。コップの水にストローを差すと折れて見えるのは、水と空気の境目で光の進む向きが変わるからで、その原因がこの速さの違いです。ダイヤモンドでは半分以下まで落ちます。

もっと極端な例もあります。1999年、ハーバード大学のレーネ・ハウらは絶対零度近くまで冷やしたナトリウム原子のガスの中で、光の速さを秒速17メートルまで落としました。時速にすると約61キロで、車と同じくらいの速さです。

真空中の光の速さが、なぜ物の速さの上限になるのか。これはアインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論の柱で、式を追うと納得しやすい話です。高校で習う数学の範囲で理論をたどれる本もあります。

よくある疑問

光より速く進めるものは本当にないのですか?
物や情報を、真空中の光より速く運ぶことはできません。物は速くなるほど加速しにくくなり、光の速さに届くには無限のエネルギーが必要になるからです。欧州合同原子核研究機関(CERN)の加速器LHCは、1周約27キロのリングで陽子を1秒に1万1245周させます。計算すると秒速約29万9780キロで、光の速さにわずかに届きません。
光年は時間の単位ですか?
距離の単位です。光が1年間に進む長さを1光年と決めたもので、約9兆4600億キロメートルにあたります。名前に「年」が入るのは、「駅から徒歩10分」と同じように、かかる時間で道のりを言い表しているからです。詳しくは光年の記事で紹介しています。

まとめ

光は真空中を秒速29万9792.458キロメートルで進み、1秒で地球を7.48周します。この値は1983年から定義で決まった数字で、1676年のレーマーの「約22分」から始まり、300年かけて測り続けた末に固定されました。水の中ではおよそ4分の3、ダイヤモンドの中では半分以下まで遅くなります。

次に夕日を見たら、8分あまり前に太陽を出た光だと思い出してください。そして星を見上げたら、その光が何年前に出発したのかを数えてみてください。

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