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星はなぜ瞬く?またたきの正体

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
星はなぜ瞬く?またたきの正体

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星が瞬いて見えるのは、地球の大気が揺らいで、星の光をわずかに曲げているからです。星そのものは、一定の明るさで輝き続けています。

この現象を天文学ではシンチレーションと呼びます。原因が空気にある証拠に、大気の上に出た宇宙ステーションからは、星は瞬かずに見えます。惑星が瞬かない理由や、低い星が色まで変える理由も、同じ仕組みで説明できます。

星は本当に明るさを変えているの?

変えていません。星の光は何十光年、何百光年という距離を、一定の明るさのまま旅してきます。変化が起きるのは、最後に地球の空気を通り抜けるときです。

日本天文学会の天文学辞典は、星のまたたきの主な原因を「下層大気の密度変化による光の屈折」と説明しています。望遠鏡で見ると、またたきは2つの変化に分けられます。

肉眼で見る「チカチカ」は、主にシンチレーションのほうです。

空気のどこが光を曲げているの?

空気は、場所によって温度も密度も湿り気も違います。暖かい空気と冷たい空気が混ざり合う境目では、光の曲がり方(屈折率)がわずかに変わります。

大気は、無数の小さなレンズが集まった状態になっています。レンズがたまたま光を集めた瞬間、星は明るく見えます。散らした瞬間には暗く見えます。

空気は風で流れているので、レンズの並びは1秒のあいだに何度も入れ替わります。これが、星がせわしなくチカチカする理由です。

NASAの解説は、このレンズにあたる空気のかたまりを「乱流のセル」と呼んでいます。密度や温度、湿り気の違うかたまりが、星の点のような像を1秒ごとにずらしていきます。

名古屋市科学館の展示解説によると、揺らぎが大きいときには、近くに並ぶ2つの星が1つに重なって見えることもあります。

惑星はなぜ瞬かないの?

見かけの大きさが違うからです。恒星はあまりに遠く、大きな望遠鏡で見ても点にしか見えません。光の通り道は、事実上1本だけです。その1本が揺さぶられれば、明るさはそのまま揺れます。

惑星は地球に近く、望遠鏡では丸い面として見えます。面のあちこちから届いた光は、それぞれ別の空気のかたまりを通ります。ある部分が明るくなる瞬間に、別の部分は暗くなる。足し合わせると揺れが打ち消され、明るさが安定して見えます。

数字で比べると差がはっきりします。見かけの大きさは「秒角」という角度で表します。1秒角は、1度の3600分の1です。

見かけの大きさと大気の揺らぎ(単位:秒角)
対象見かけの大きさ・揺らぎの幅
金星9.7〜66
木星29.8〜50.1
土星14.5〜20.1
火星3.5〜25.1
ベテルギウス(見かけが最大級の恒星)0.049〜0.060
大気の揺らぎ(日本の天文台)約2
大気の揺らぎ(ハワイ・マウナケア山頂)平均約0.6

木星は揺らぎの幅の10倍以上あり、面の中で揺れが平均されます。いっぽう恒星は、最大級のベテルギウスでも揺らぎの幅の数十分の1しかありません。ただし火星は、地球から遠い時期には3.5秒角まで小さくなります。日本の空の揺らぎとの差は2倍もありません。

人の目が見分けられる大きさは、約1分角(60秒角)です。最大50秒角の木星でさえ、肉眼では点にしか見えません。それでも瞬かないのは、光の通る幅が空気の揺らぎより広いからです。目に丸く見えるかどうかは関係ありません。

地平線近くの星は、なぜ色まで変わるの?

低い星ほど、厚い空気を通ってくるからです。真上の星の光は大気を最短距離で通り抜けます。地平線近くの星の光は、空気の層を斜めに長く進みます。通り抜けるかたまりの数が増えるので、揺さぶられ方も大きくなります。

冬の夜空でいちばん明るい恒星はシリウスです。低い位置にあるときは、赤や緑、白へと1秒に何度も色を変えて見えることがあります。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのチャンドラX線観測衛星の解説によると、これは大気がプリズムのように働くためです。

空気は、色によって光を曲げる量がわずかに違います。揺れ動く空気のかたまりが、ある瞬間は赤い光を、次の瞬間は青い光を目に届けます。その結果、色が入れ替わって見えるのです。この効果は地平線近くで強く、空気の乱れが大きい夜やもやの多い夜にも目立ちます。

低い空で色を変えながら激しく光る点が、UFOと見間違えられることもあります。

天文学者は、瞬きをどうやって消しているの?

美しく見える瞬きも、観測する側には邪魔者です。像が揺れてぼやけるため、望遠鏡をいくら大きくしても細かい構造が見えなくなります。対策は大きく3つあります。

  1. 空気の薄い高い山に建てる。標高4,200メートルのマウナケア山頂にあるすばる望遠鏡では、揺らぎの幅が平均約0.6秒角です。
  2. 鏡を動かして揺れを打ち消す。「補償光学」と呼ばれる技術で、1953年に米国の天文学者ホレス・バブコックが考えました。揺らぎを数ミリ秒ごとに測り、形を変えられる鏡で逆向きにゆがめます。
  3. 大気の外に出る。1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡が、この方法を選びました。

宇宙に出れば、星は本当に瞬かなくなります。欧州宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士サマンサ・クリストフォレッティさんは2022年、国際宇宙ステーションからこう答えています。宇宙ステーションでは大気の上から星を眺めているので、星は瞬かない、と。原因が星ではなく空気にあることを、いちばん分かりやすく示す話です。

補償光学には、揺らぎを測るための明るい星が近くに必要です。ない場合は、地上からレーザーを打ち上げます。上空約90キロにあるナトリウム原子を光らせて、人工の星を作るのです。

「きらきら星」の歌は、いつからあるの?

星の瞬きを歌った英語の童謡「Twinkle, Twinkle, Little Star」は、1806年に生まれました。作詞はイギリスのジェーン・テイラーで、元の題は「The Star(星)」。童謡集『Rhymes for the Nursery』に載った詩で、日本では「きらきら星」の名で親しまれています。

メロディーはもっと古く、フランスの歌「Ah! vous dirai-je, maman」が元です。こちらは1761年に楽譜が出版されています。モーツァルトがこの旋律で12の変奏曲を書いたことでも知られます。瞬きの仕組みが分かるずっと前から、人は星のチカチカを歌にしてきたのです。

今夜、どうすれば見比べられるの?

道具はいりません。晴れた夜に、次の3つを試してみてください。

国立天文台などが毎月出している星空の情報で、その月に見える惑星の位置を調べておくと見つけやすくなります。

まとめ

星の瞬きは、星ではなく地球の空気が起こしています。温度の違う空気のかたまりがレンズのように光を曲げ、明るさを揺らします。見かけが大きい惑星は揺れが平均されて瞬かず、厚い空気を通る低い星ほど激しく、色まで変えて瞬きます。

次に夜空を見上げたら、瞬かない明るい光を1つ探してみてください。それが見つかれば、星と惑星の見分けがつくようになります。

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